岐路に立つ日本 2009 1 18

書名 世界恐慌の襲来
著者 高橋 乗宣  東洋経済新報社

 目次を見ると、かなり厳しいことが書いてあります。
第1章 米国に迫りくる国家破綻の危機
第2章 世界バブル崩壊で富の奪い合いが始まった
第3章 日本経済は「最悪の10年」に突入する
第4章 ドル支配の終わりで世界は再びブロック化する

 しかし、私は、金融的に世界恐慌にはならないと考えています。
あの当時は、今と比べて、
金融システムも脆弱な上に、危機管理も確立されていなかったからです。
 現在も、各国の利害は対立していますが、
金融システムを守るという点では、一致しています。
 さらに、現在、先進国においては、世界同時低金利という状態です。
これは、恐慌というよりも、むしろ新たなバブルの芽を育てているかもしれません。
 ただし、著者が指摘するように、日本には心配なことがあります。
将来、世界経済が、再びブロック化する可能性です。
こうなると、貿易立国である日本は、苦境に陥る可能性があります。
日本は、輸出大国であると同時に、輸入大国でもあります。
 そういうわけで、世界経済が、再びブロック経済に陥らないように、
日本は、自由貿易を推進するリーダーにならざるを得ない立場になってしまうかもしれません。
 経済ブロックの懸念は、十分あります。
たとえば、アメリカ、カナダ、メキシコが一体化する可能性や、
さらに広く、北米大陸と南米大陸が一体化する可能性もあります。
 基軸通貨ドルが衰えた場合、ユーロが基軸通貨になるには負担が大きいでしょう。
そうなると、通貨が、ドル、ユーロ、円、イスラム通貨で乱立するか、
あるいはブロック化する可能性があります。
 さて、同書には、希望も書いてあります。
最終章の終わりに、
「日本企業の潤沢な手元資金が武器になる」、
「世界一の独創性で日本は輝き続ける」。
 これには、私も同感です。
意外にも、この度の「金融危機や世界同時不況」が、
日本に不戦勝をもたらす可能性があります。
 高度な生産技術。
世界でも数少ない高度な生産技術を持った企業が、日本には多数存在します。
たとえ、一時的に、大幅な減益になっても、
そういう技術は、21世紀の人類にとって不可欠な技術ですから、
必ず業績回復へ向かうでしょう。
















































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